食の安全保障のために、食糧自給率を上げよう、GMOはいらない。
きょうは、6日付東京新聞本音のコラム欄の堤未果さんによる「食の安全保障」を読んで書くことにしました。同じく「本音のコラム」の「富の移転」に触発されて書いた「農水省の減反政策に反対する!」に関連した内容となります。
では、まず、記事の紹介から。
急激な食料価格高騰が世界各地で暴動を引き起こしている。そんな中、世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長は、競争の導入が国際価格引き下げと各国の生産能力強化に貢献すると発言し、ネグロポンテ米国務副長官は、食料危機を救う遺伝子組み換え作物(GMO)の受け入れを全世界に呼びかけている。
だが、今回価格高騰の打撃を最も受けたのは米国の推進する自由化貿易の傘下で関税や農民保護法を撤廃し、市場依存型の生産と流通システム(世界銀行と国際通貨基金=IMF=の融資条件)導入で経済自衛力を失った国々だ。
GMOの特許を持ち、アグリビジネス市場の9割を独占する米系多国籍企業モンサント社の種子を導入した国内外の農家は、収穫の一部を翌年の種子として使いまわすと同社に訴訟を起こされるために継続購入を余儀なくされる。凶作に見舞われたインドでは同社に種子代金が支払い切れず自殺する農民が相次いだ。
だが国全体の食料生産が一多国籍企業に握られる可能性を警戒する途上国も背に腹は代えられないとなれば選択肢を失うだろう。食料の世界的争奪戦が予想される中、自民党も民主党も「自由化」前提の農業政策を掲げている。これで基本的人権である食の安全保障は守られるのか。途上国の例を合わせ鏡にしてもう一度真剣に考えたい。
この記事で、注目することが、まず、二つあります。
1) 世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長は、競争の導入が国際価格引き下げと各国の生産能力強化に貢献すると発言。
2) ネグロポンテ米国務副長官は、食料危機を救う遺伝子組み換え作物(GMO)の受け入れを全世界に呼びかけている。
そこで、途上国が食糧危機に陥って、暴動を起こすまでに至った経緯は、どんなだったか見てみると、
1) 世界銀行とIMFは、途上国に融資する条件として、農産物貿易の自由化を迫り、途上国に農産物輸入関税を下げさせ、農民の保護を止めさせた。
2) 安い輸入農産物が、途上国を席巻し、農民は農業をやめるしかなくなった。かつての農民は工場労働者として都市部へ流れ、スラムに住む。
3) こうして、途上国の農業が壊滅状態となってしまってから、穀物産地で干ばつ、サブプライムローンの破たんにより投資資金が穀物相場で流れ込んだこと、同じく投機で価格が高騰した原油のため輸送コストの上昇、の要因により、輸入穀物の価格は暴騰し、途上国の人々は、穀物が買えないという事態になり、暴動が起きた。
これらからわかることとして、
世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長の発言、「競争の導入が国際価格引き下げと各国の生産能力強化に貢献する」は、まったくのデタラメ。
農産物の自由競争の結果、途上国の農業は負け、生産能力を失ったのであり、輸入穀物は、産地国の干ばつなどの理由によって、国際価格は引き下げどころか、暴騰した。
でも、ここで疑問がわいてきました。なぜ、アメリカは途上国を席巻するほど農産物を安く売れるのでしょうか?
主に、アメリカの農産物が途上国を席巻しているようですが、なぜアメリカがそんなに安く農産物を輸出できるのか、変に思いませんか?ひょっとすると、保護しているのじゃないのかな?と思い、「アメリカ 農業 保護」で、検索すると、ありましたね。非常に手厚い保護をしています。他国には自由競争だ、保護するな、と言って、保護させないように圧力をかけているというのに。下記のホームページから一部引用させてもらいます。
ブッシュ大統領や議会関係者が「惜しみない内容」と言うとおり、農業関係の財政支出は九六~二〇〇一年の六百三十億ドル(八兆一千六百億円)に五百十七億ドル追加し、千百四十七億ドル(十四兆八千六百億円)へと倍増します(アメリカ議会予算局の試算)。
<略>
暴落に約四兆円の補てん予算を計上
さらに大きな違いは、暴落に対する全額国費による補てんです。短期融資制度は生産費を考慮に入れていない制度ですから、これだけではとうてい生産費を償うことはできません。
そこで九六年農業法がまったく予定していなかった農家救済策(緊急直接支払い)が九九年から登場し、廃止された不足払制度の代わりの役割を果たしてきま した。九九年から二〇〇一年までの間、単年度の予算措置として注ぎ込まれてきた暴落補てんは三百五十五億ドル、三兆七千億円強にのぼります(表2)。
表2 アメリカの農家救済策
1999年度包括歳出法による農家救済策
1998年10月21日成立約60億ドル 2000年度農業歳出法による農家救済策
1999年10月22日成立約87億ドル 農業リスク保護法による農家救済策
2000年6月20日成立約153億ドル 2001年度農家救済支援法による農家救済策 約55億ドル 合計 約355億ドル
(『食料・農業・農村白書』から) その結果、日本の価格保障予算が一九八〇年比で半分以下に激減したのに対し、アメリカの価格・所得補償予算は十一倍近くになっているのです(図2〈図はありません〉)。また“世界のパン篭”と呼ばれてきたアメリカの農民の所得のうち、実に四割から五割は、こうした政府補助金によって満たされているのです(図3〈図はありません〉)。
暴落に素知らぬ顔をして予算を削り、WTOが定めた国内助成合計量(AMS、六年間で五兆円から四兆円に削減することを約束)を、七千六百六十五億円にまで削ったことを自慢している日本政府。なんという大きな違いでしょうか。
このようにアメリカの農家は政府から手厚く保護され、絶対に損をしないようにしているのです。日本政府は、削減すると約束して、きちんと削減。約束を守ったと自慢しているなんて、なんて情けない政府でしょう。MA米も日本だけが、順守してキッチリ輸入しているとのことだからで、これも自慢なんでしょうね。
で、なぜ、アメリカはこのように農家を手厚く保護するのでしょうか?
それは、農家に過剰生産させ、余剰農産物で、他国を侵略しようという明確な目的を持っての政策と思うのは、穿っている見方でしょうか?
どうしてそう思うかというと、ブッシュ大統領は、国の食料自給率を奪うことは、その国の国家安全保障を奪うことと、ハッキリと意識しているからです。下の発言をお読みください。そう思われませんか?
「食糧を自給できない国を想像できるか。そんな国は、国際的な圧力と危険にさらされている国だ。食糧自給は国家安全保障の問題であり、アメリカ国民の健康を守るために輸入食品に頼らなくてよいのは、何とありがたいことか」
まぁ、アメリカの農産物は、アメリカ国民の税金がたっぷりと使われて安くなっているのであって、実は非常に高い農産物なのですね。このように、税金を惜しみなく使って農産物を安く見せかけて、他国へ売りつける動機はなんだろうかと考えたとき、やっぱり、他国の「食糧自給」を奪うこと、国家の「安全保障」を奪うことなのだろうと思ってしまいますね。
また、もう一つ思うことは、WTOと世界銀行とIMFはアメリカと協働している、ということ。
今日の輸入食糧暴騰により、途上国の人々を苦しめる原因を作った張本人は、農産物の自由化を融資条件にした世界銀行とIMFであることは確かです。そして、その働きにより、食糧による途上国侵略をしたのがアメリカということを考えれば、世界銀行とIMFは、アメリカに食糧侵略をさせるために働いたと言えると思います。
WHOも、アメリカと同様な農産物の自由競争を主張していることをみても、アメリカの侵略を合法化して、助けていますね。
私は、WTOと世界銀行とIMFが、アメリカに食糧侵略させるように働いていると思います。
この4つはグルではないでしょうか。
ネグロポンテ米国務副長官は、食料危機を救う遺伝子組み換え作物(GMO)の受け入れを全世界に呼びかけているとのことは、GMO9割の特許権を持つモンサント社の種子を使うよう勧めているに等しく、米国務副長官が、一企業であるモンサント社のセールスマンをして、その種子を全世界へ広めようとしているのですが、
WHO提唱の自由競争で、弱い国から農業を破壊したあと、今度は、またしても、世界銀行とIMFが、モンサント社のGMOを使うことを条件として融資するなんてことが行われるのではないかということが、充分考えられます。堤未果さんの記事は、そういうことを想像させます。
GMOをいったん使用した農民は、永遠に継続購入をしなくてはならないということだから、こうなると、途上国が廃れた農業を興すにも、モンサント社へ永遠に収益を吸い取られ続けることになります。とことん、しゃぶりつくすのが、アメリカという国のようですね。
ということで、GMOは絶対に使っちゃいけないということになります。もう少しは使われているようですか?そしたら、全部処分してしまいましょう。
GMO使用での心配は、富を奪われ続けるだけではなく、食料としての安全面も全く不明であること。遺伝子組み換えで、虫に食われにくい作物なんて気色が悪いでしょ?私はすごく気色悪い。遺伝子を操作しているなんて、きっと何かの天罰があるに違いないと思うし、だいいち、遺伝子組み換えで人体に危険な作物にして輸出しているかもしれないし、危険がいっぱいと思いませんか?
さきほど、村野瀬玲奈さんのブログをのぞいてみたら、エントリ日米年次規制改革要望書の「結果報告」を米国通商代表部が発表で、「日米年次規制改革要望書(年次改革要望書)の報告書が出た」という内容が書かれていました。関連しているので、一部引用させてもらいます。
訳:「日本の郵便金融機関(ゆうちょ銀行)の事業範囲を拡大するうえで、同等の競争条件がいつも保証されなければならないことを(米国は日本に向けて)確認する。(そして、念を押す。)」
その半面、日本がある種の農産物(遺伝子組み換え作物や農薬処理した農作物のことでしょうか)、そして、BSEの疑いのあるアメリカ産牛肉の輸入に関して抵抗を示していることにいらだちを隠しません。これです。
リンク先で全文お読みください。
ゆうちょ銀行とBSE牛肉にも怒りを感じますが、今はふれません。
ネグロポンテ米国務副長官は、食料危機を救う遺伝子組み換え作物(GMO)の受け入れを全世界に呼びかけたぐらいなのだから、まず、ポチの日本に無理強いしてくるのは、当たり前でしょう。
皆さん、農産物貿易自由化の押し付け、モンサント社などのGMO押し付けは、侵略させろ、というのと同じです。
「自民党(清和会系)」は、アメリカの言いなりに農業を自由化して、おそらく、この要求も受け入れようとすると思います。
が、「民主党」は、こんな自民党の政策と同じにならないよう、食料で他国や一企業に富を奪われぬよう、しっかりとした「国内農業の育成」、「食糧自給率の向上」という政策に立ち、「日本の安全保障」を高めて行く方向性を出すべきです。もちろん、手厚く農民を保護することが必要ですが、民主党は、農民を手厚く保護する政策は、出していたように思いましたね。
私は、野党の皆さんに期待をしてエールを送るものですが、政権交代を望んでいるので、政権に一番近い政党として、民主党には期待しています。
【追記】
WTOについては、私の誤解だったようです。
下記を読めば、WTOは決して強制せず、加盟国間の交渉の結果による合意ということで、いやなら、合意しなければいいだけですね。日本がMA米をアメリカから買わされているのもWHOから強制されているわけではなく、日米間で合意したというだけということでしょうか。
1.WTOは政府の政策を強制します。
違います。WTOは加盟国政府に対しどのように貿易政策をするかを指示するものではありません。むしろ、WTOは「加盟国主導」の機関なのです。
すなわち、
・WTO体制のルールは、加盟国政府の間の交渉による結果である合意です。
・ルールは全加盟国の国会で批准されます。
・WTOによる決定は一般的に全加盟国のコンセンサスにより行われます。言いかえれば、WTOでの決定は交渉により行われるものであり、十分な理由のある民主的なものです。
・・・
WTOの機関が加盟国政府の政策に直接の影響を及ぼす唯一の例外は、紛争がWTOに持ちこまれ、紛争解決機関(全加盟国により構成される)による決定が 下される場合に起こります。通常、紛争解決機関は専門家による小委員会の判断や上級委員会の報告を採択する形で決定を行います。
しかし、そのような場合においても、決定の範囲は狭いものです。この決定は単に当該政府がWTO協定のひとつに違反しているか否かについての判断ないし 解釈を示したものです。その協定は当該政府自身も受け入れているものです。もし当該政府が約束に違反しているのであれば、それは是正されなければなりませ ん。
その他の全ての場合においてWTOは特定の政策を採用したり廃止したりすることを加盟国政府に強制することはありません。
WTO事務局について言えば、事務局は単にWTO及び加盟国のために行政的、技術的支援を行っているだけです。
つまり、WTOが加盟国政府を強制しているのではなく、加盟国政府がWTOを強制しているのです。
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