WTO(ドーハ・ラウンド)妥結するなら、農家へ所得補償をするべし。
ジュネーブでのWTO非公式会合で、若林農水相は、国内消費量の4%の低関税輸入枠を受け入れました。
これで、強制的に買わされるMA米は、70万トンぐらい?国内では減反政策をとる政府が、70万トンものコメを強制的に買わされることになります。
これとは別に、重要品目について、もし仮に、4%で妥結したとして、一定条件下で2%の追加が認められたとして、現在、200%超の関税率を掛けて保護している品目が101品目のところ、6%だと、80品目となり、21品目が保護されなくなるわけ。
経済同友会夏季セミナーで、数土文夫JFEホールディング社長は、「日本は年間で約6兆円もの農業予算を使いながら、農家の戸数は大幅に減ってきている」と述べ、これまでの農業政策を批判。そのうえで農業所得に占める政府支援の割合は「米国の約3割に対して日本は1,5%にとどまっている」と語り、所得補償の引き上げを求めたという記事が7月18日の東京新聞にありました。
ま、経済同友会が狙っているのは、「農業への参入規制を撤廃」させ、政府から「所得補償」を得て、産業界が儲けるという構図でありましょうけど。
経済同友会が指摘するように、現在のように農家への所得補償がお粗末な状況で、農産物の輸入自由化をすすめれば、日本の農家はひとたまりもないことは日の目を見るより明らかですね。
農家への参入規制緩和は、農業の企業化、寡占化が起きるわけで、それはそれで、消費者にとってはよろしくない結果となると私は思うので、反対です。が、農家への所得補償は、十分にしなければ、日本の農業は壊滅状況となり、現在の39%(カロリーベース)実質20%以下らしいは、ますます落ち、限りなくゼロに近づくことになるでしょう。
今でも十分危ない状況ですが、食料のほとんどを外国に頼るようになったとき、産地国で飢饉が起き、また輸入には燃料コストがかかりその価格の上昇、投機などによって、いきなり輸入がストップしてしまう場合もあるだろうし、そうでなくても、高額化した輸入食品購入に資産を使い果たすことになるし、その後は、餓死するしかないと思いますよね。そういったシナリオを覚悟した方がよろしいでしょう。現に、今現在、そうした状況に陥っている国があるのですから。
農家の高齢化も進んでおり、政策は急がれるわけですが、政府は、今の状況も把握できているかどうか怪しい有様で、全く当てになりません。この頼りない政府を先に何とかすることがまず急がれます。
重要品目「4%」の事務局長裁定案=上限関税記述なし、協議継続-WTO交渉
【ジュネーブ25日時事】世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長が、新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の市場開放の大枠(モダリティー)合意に向 け、主要な約30加盟国・地域に提示した裁定案の全容が25日夜(日本時間26日未明)、明らかになった。農産品関税の引き下げ率を例外的に小さく抑える ことができる「重要品目」の割合は4%で、一定条件下で2%の追加を認める。「8%以上」(若林正俊農林水産相)の確保を目指している日本にとって厳しい 内容だ。
ドーハ・ラウンドで最大の焦点とされる米国の農業国内補助金をめぐり、同国は150億ドルに削減する意向を表明していたが、裁定案はさらに5億ドル減らし、145億ドルへの削減を明記した。日本が導入阻止を目指す農産品への「上限関税」は盛り込まれていない。
重要品目に義務付けられる低関税輸入枠では、関税下げ率を通常の3分の1にとどめる場合、国内消費量の4%分の拡大を課す。従来の交渉議長案は「4~6%」で、裁定案は最低限の4%とした日本の要求を受け入れた。
鉱工業品の関税引き下げ実施後の上限税率については、先進国は8%、途上国には選択する例外措置に応じて20%、22%、25%の3つの税率を提示した。
ラミー裁定案について、若林農水相は同日、記者団に対し、「主要7カ国・地域会合で同意されたわけではない。非常に不満はあるが、重要品目『8%』の確保 を条件に、たたき台として協議を進めることは了解した」と述べた。今後も交渉を継続する。(2008/07/26-06:10)
そうそう、いつのまにやら、重要品目10%は消え失せて、すっかり8%になってしまっていますね。若林農水相のような弱腰な人に交渉させたら、とことん譲歩して終わりそう。
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コメント
日本政府が一見抵抗しているようにも報道されていますが、しかしよく見ると、この合意内容は、今日本政府が進めようとしている農業政策の大転換と基本的には一致しているので、細かい点での交渉はあったとしても、最初から合意が目に見えています。
いずれにしても、政府は今の日本の一部の大経営農家だけを残し、その人たちだけに援助金などの手厚い保護を加え、大多数の小農はリストラし、足りない作物は海外に資本進出しても確保するという方向になっています。
だからこの合意内容は、大きくはなんら政府の方向性と矛盾するものではない。そして前も書きましたが、この政策のひとつの結果が海外への農業依存から農業資本進出、海外での日本のための農作地の確保となり、日本の生命線が海外に設けられ、戦争の歴史を繰り返す道につながっていく可能性です。戦前と似た道を再びあゆまないためにも、農業問題をもっと大きな今の政治の流れ全体の中に位置づけ、この社会のあり方を変えていく運動として考えない限り、根本的な解決がないようにも思えます。
投稿: struggleunioncenter | 2008年7月27日 (日) 02時03分
struggleunioncenterさん、いつもご意見ありがとうございます。
おしゃる通り、このドーハラウンドに合意することは政府の既定路線でしょう。10%、8%を死守するとか言っていたのはポーズに過ぎなかったと思います。
それは、ドーハ・ラウンドが始まる直前に、ジュネーブで、若林農水相と甘利経産相が言ったことでわかります。
全農中や国民は、騙されたと思った方がいいですね。
社会保障費を2200億円削減することを継続し、医師、日本医師会を捨てた政府は、今度は、ドーハ・ラウンドに合意することで、農業政策でも農民、全農中を捨てました。
まずは、医療も農業も既存のものを潰して、企業に集約、金もうけの産業にするつもりなのですね。
農業に関しては、外国へと売り渡したということなのだと思います。国として農業を失うことになると思います。そのかわりに、産業分野での見返りを得るという具合。
これで、私たちの食の安全は、大きく後退することになります。39%(カロリーベース)でも危険水準ですが、これ以上外国に食糧を依存するということは、日本人を生かすも殺すも輸出国しだいとなりますよね。
もちろん、食糧分捕りのための戦争も考えられますが、日本にはエネルギーもないわけだから、もし、そうしたことになった場合は、グローバル資本に踊らされてのことだと思います。
投稿: ふじふじ | 2008年7月27日 (日) 15時54分