本日付毎日新聞朝刊「発言席」は、日本福祉大学教授の仁木立氏が、「後期高齢者医療制度」を「国民皆保険の理念に反する」として、批判するものだった。
仁木氏は、「後期高齢者医療制度」を廃止し、老人保健制度を復活することに賛成している。
その理由として、
1、高齢者のみを一般の国民から切り離す制度は、国民連帯という国民皆保険の根本理念にも、リスクの高い加入者と低い加入者をプールして、リスクを社会的にプールするという社会保険の原則にも反している。
[これに比べると高齢者を従来の医療保険制度に加入させたまま制度間の財政調整を行う老人保健制度の方が、理念上も、社会保険の設計技術上も、はるかに優れている。国際的にみても、全国民対照の公的医療保険制度を有する国で、高齢者を別建てにした制度を有するのは日本だけである。]
2、後期高齢者医療制度の根拠法となっている「高齢者の医療の確保に関する法律」に、老人保健制度にはなかった厳しい医療費抑制策が組み込まれている。そもそも、同法は第一条の目的に「医療費の適正化を推進する」ことを掲げた、初めての法律である。
の二つを挙げる。
ここに出てきた【医療費適正化という名の医療費抑制策】とは、以下の四つ。
1、保険者がメタボリック症候群対策の目標を達成できなかった場合、ペナルティーを科せられること。
2、医療費適正化計画を達成できなかった都道府県は診療報酬点数の特例的引き下げの実施を求められること。
3、従来1割負担だった70~74歳の自己負担割合を2割に引き上げること。
4、従来高齢者には禁止されていた保険料未納者に対する保険証の取り上げが導入されたこと。
1、2、は、中長期的対策であるが、二つとも医療費抑制効果がなく、「無駄の制度化」であるとおっしゃっている。確かに医療費自体は減らず、自治体に無理難題を言って、達成できなかったら、ペナルティを科し自治体からお金を巻き上げるとか、負担を強いるというものでしかない。国庫の負担は減っても医療費が減るわけではない。もっとも、厚労省の目的は、医療費を国庫から出さないことなので、自分たちの目的には合致しているのだろうけど。(メタボ検診についてはこちらに書いているのでよろしかったら読んでください。)
仁木氏は、後期高齢者医療制度の廃止主張に対し、「対案を示せ」と非難されることについては、欠陥だらけの同制度に代えて、相対的に優れている老人保健制度を復活することは立派な対案であるとおっしゃっているが、まったくその通りと思う。
また、仁木氏は、後期高齢者医療制度に固執する人々の弁明三つをいずれも根拠に乏しいと指摘している。
1、同制度が「10年も議論した後に、成立したとの弁明
事実は逆で、10年議論しても成案がまとまらなかったにもかかわらず、05年9月の郵政選挙の圧勝により、自民党内で独裁的権力を確立した小泉純一郎首相の鶴の一声で強引に成立したのである。この点は、本紙(毎日)6月7日朝刊の「一からわかる後期高齢者医療制度」でも紹介されている。
2、後期高齢者には独自な医療が必要だという弁明
社会保障審議会「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」は、「医療の基本的な内容は、74歳以下の者に対する医療と連動しているもので、75歳以上であることを持って大きく変わるものではない」と明言している。舛添要一厚生労働相も、6月に後期高齢者終末期相談支援料を凍結した際、終末期を「年齢で区切ることはやめた方がよい」と述べている。
3、後期高齢者医療制度を作らないと国民健康保険(国保)が破たんするという弁明
国保の財政が悪化したのは1984年の健康保険法改正時に、国保への国庫負担を大幅に切り下げたためであり、それを復活するのが先決である。
ホントに、仁木氏が、おっしゃるように「後期高齢者医療制度」は、小泉政権が数に任せて強行採決させたもので、なんの正当性を持たず、国民の健康をまっとうに真面目に考えた結果の医療制度ではない。
現在、与党4党の廃止法案が参院で可決され、継続審議となっているが、衆院が解散されれば廃案となるとのことだけれど、ここで廃案となっても、衆院選挙後に再提出してすればよいのであって、このような亡国医療制度は、衆院選挙後には早急に廃止して、まっとうな医療制度に変えなくては、私たち国民は安心して暮らすことができない。
この点だけ考えても、来る衆院解散総選挙では、自民党には絶対に負けてもらわなければならないのであって、自民党が勝つなんてことがあれば、私たちの老後は悲惨なことになるに違いない。
ご老人にとって、ホントにエゲツナイ「後期高齢者医療制度」でそれはその通りなのだけど、厚労省には、もう一つ、「健保組合」を崩壊させるという大きな狙いがあったのではないか、と思う。
厚労省は、高齢者を各保険制度から「後期高齢者医療制度」へ移動させることで、「5000億円」の国費を削減し、健保組合が「5000億円」負担するようにした。(こちら)
制度改正なしの場合、医療費への税金投入額は、「6兆5300億円」。制度改正により「5兆9100億円」へ削減。
この制度により削減された公費は、「6200億円」となるが、このうちの「5000億円」を健保組合へ押し付けた。
そして、医療制度が「後期高齢者医療制度」に移行してから、この「5000億円」の負担は、健保組合に重くのしかかり、西濃運輸を初めとして解散が続いている。すでに、12組合が解散している。
健保組合の45%が経常赤字
健康保険組合連合会(健保連)は9月10日、同連合会に加盟する1518組合(今年3月末現在)の約45%が昨年度決算で経常赤字になる見通しだと発表した。
健保連が取りまとめた「2007年度健保組合決算見込みの概要」によると、赤字組合は06年度の502組合から178組合増えて680組合になった。全
体に占める赤字組合の割合は44.8%で、06年度の32.6%から12.2ポイントも増加。赤字組合全体の赤字額は1570億円で、06年度の997億
円から573億円増えた。
また、加盟組合は昨年3月末から23組合減少。このうち12組合が解散によるものだった。
健保組合全体の経常収支見通しは、6兆1993億円の収入に対して支出が6兆1394億円で、03年度から5年連続の黒字決算だが、黒字額は06年度の2372億円から大幅にダウンし、599億円にとどまった。
08年度からは後期高齢者医療制度の創設により、「後期高齢者支援金」や「前期高齢者納付金」に伴う支出があるため、健保連では健保組合全体の収支が約6300億円の赤字、全組合の9割が赤字になるとみている。
■相次ぐ解散「制度改革が引き金の一つ」
健保連の対馬忠明専務理事は同日開いた記者会見で、西濃運輸や京樽など、健保組合の解散が相次いでいる点について、「組合ごとに事情が異なるので、一概
には言いづらいが、08年度以降の医療制度改正で負担が大幅に増えたことが引き金の一つになったのは間違いないと思う」との認識を示した。
健保組合全体の財政状況については、「これまでの小康状態から一気に悪くなっている」とあらためて強調した。
政府の最初の計画では、まだその上に、健保組合に対しては、「政管健保の肩代わり1000億円」という法案も通されるところだった。(こちら)
「政管健保の肩代わり1000億円」は、政府が法案を引き下げたので不成功に終わったけれど、政府の最初のもくろみでは、組合健保に、実に「6000億円」の負担押し付けを図っていたわけだ。つまり、削減「6200億円」予定のうちの「6000億円」を健保組合に押し付けることになっていた。
これらのことを考えると、この「後期高齢者医療制度」への制度改正の大きな目的の一つは、健保組合潰しだったのではないかと私は考える。それは、まんまと成功して、着々と組合は解散している。組合が減れば、負担金はますますここの組合に重くのしかかるわけで、解散は加速的に増え、ついには組合はゼロになると思う。健保組合つぶし大成功というわけ。厚労省は、万歳でもするのかな。
解散した健保組合は、「政管健保」へ加入したが、「政管健保」は、この10月から「協会けんぽ」へと移行。ここでも必ず「ワナ」が仕掛けられていると思ったら、やっぱりそうだった。
「『協会けんぽ』は医療崩壊を加速」
社会保険庁の廃止に伴い、今年10月に設立される全国健康保険協会が運営する「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」について、全国保険医団体連合会(保団連)が「都道府県間の保険料の格差が広がり、地域医療が混乱する」などと指摘している。
2006年に成立した医療制度改革関連法によって、今年10月に「政府管掌健康保険(政管健保)」が廃止され、全国健康保険協会の「協会けんぽ」に移行する。
政管健保は、国(社会保険庁)が保険者となって運営してきた。民間企業で働く従業員のうち、主に事業所が健康保険組合を持たない中小企業の従業員や家族約3600万人が加入している。
「協会けんぽ」には当初、現在の政管健保の保険料が適用されるが、協会設立後1年以内に、各都道府県の医療費を反映した保険料が設定されることになって
いる。このため、来年10月から全国一律の保険料ではなくなり、都道府県ごとの保険料になる予定で、保団連では、「都道府県ごとの保険料への移行に当た
り、保険料が大幅に上昇する場合、5年間に限って『激変緩和措置』が講じられるが、その後は都道府県間の格差が著しいものになると予測される」としてい
る。
また、「協会けんぽ」では、都道府県による医療費の差が保険料に反映することについて、「医療費を削減して保険料の上昇を抑える切り札として考えられる
のが、各都道府県の医療機関に支払う診療報酬の削減。ある県では、診療報酬の単価を現行の一点10円から数円削減するなどの“特例措置”によって、医療費
を削減できる仕組みになっている」と指摘。「都道府県別の診療報酬が導入されるなら、同じ医療行為でも都道府県で費用が変わることになり、地域医療に大き
な混乱をもたらす」と批判している。
保団連では、「これまで国が保険者として担ってきた全国一律の健康保険制度が、都道府県単位の健保制度に分割される。国の責務を投げ捨てるとともに、都道府県に医療費削減を競わせるもので、“医療崩壊”を加速させる」などとして、新制度の見直しを求めている。
このように次から次へと「私たちの医療を破壊する」ために必死で頭を使う厚労省なる役所は、私たちにとって有害無益なものとしか見えないのだけど、このような悪徳省庁が出してくる法案に賛同しては、次から次へと成立させただけではなく守ろうとする自民党にあなたは政権を預けたいと思いますか?
もう、ホントに早く解散総選挙して、自民党を政権から引きずりおろし、医療制度を立て直さないと私たちは危ないです。
麻生首相は、一刻も早く解散しなさい!
自民党が不況の元凶そのものであり、解散総選挙することが、景気対策でもあるんだから、そういう意味でも一刻も早い解散を!
最近のコメント