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ドーハ・ラウンド妥結による日本農業崩壊の危機、またしても。

 今年の7月に、農業品の緊急輸入制限(セーフガード)の発動条件を巡り、米国とインドなどが激しく対立して決裂した「世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)」だが、ここにきて、20日アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議共同声明では、年内大枠合意に強い決意が示され、また、14~15日の緊急首脳会議(金融サミット)では、各国首脳がラウンド推進に一致したとのことで、合意に向けての動きが再開されつつある。

 7月WTO(ドーハ・ラウンド非公式閣僚会議)をザーっと振り返ると、若林農水相(当時)は、重要品目10%枠を死守すると言って日本を出発し、ジュネーブへ着くなり8%へ下方修正、ついにはラミー提案の最高で6%受け入れという醜態を演じたというより、最初っから6%枠受け入れのつもりで行きつつも、10%死守を装い、最後にしょうがなく合意するという、およそ交渉の体をなさない国民に恥をかかせつつ裏切るという有様を見せてくれた。政府の狙いは、農業を切り捨て、工業品の輸出拡大を計ることにあった。それが、政府にすると、残念なことに、インドなどとアメリカの対立によりWTOが流会となり目的を遂げられず、そのおかげで農業はことなきを得た。

 日本政府は、工業製品を海外へ売ることに血眼で、その代償として、農業を捨て去ることに何の躊躇もない。農水省は、本来は農業を保護するべき省庁として存在しているのだろうと思うけど、輸入自由化を受け入れることで、各農産物輸入に天下り法人を設立し扱いを独占し、国民から搾取している。

 ミニマムアクセス米、輸入小麦、輸入バターでは、農水省はいずれも天下り法人を設立している。例えば、輸入小麦では、マークアップ(国産小麦への補助金)と拠出金(天下り法人へ)を上乗せして業者に売り渡す(関連記事)。ミニマムアクセス米についての関連記事は、こちら。農水省にとって、農業の輸入自由化は省益となるらしい。天下り先を作ることができるから。だから、農水省も、日本の農業を破壊することに何の躊躇もない省庁だと理解した方がいいと思う。

 皆様、ご承知のように、我が国の食料自給率は、40%弱といわれている。工業製品を輸出するために農業が犠牲になり、自給率はここまで落されてきたが、この40%弱という数値も低すぎる数値といえるけど、本当の自給率は、もっともっと低い1%あるかないかだ。

 たとえば、自給率100%といわれている米についていうと、肥料は輸入に依存、田んぼはトラクターなしでは耕せないことから、石油なしでは、耕すことすらできず、もし、海外から肥料や石油の輸入が止まってしまったら、1%自給できるかどうか怪しいほどだという。国産の卵や牛・豚・鶏の肉も、家畜が食べている飼料をほぼ100%輸入に依存していることから、これも輸入が途絶えてしまえば、ほとんど生産できなくなる。本当の自給率は、1%あるかないかぐらいなのだ。(関連記事

 私たちは、中国毒餃子事件で、食品を海外に頼ることの危険を身を持って知ったし、それだけではなく、穀物生産国の不作や原油価格の暴騰、投機も加わっての穀物価格の大暴騰で、食料を輸入するのに大金を積まなければならなくなったことも経験した。穀物価格や原油価格の暴騰は、輸入超過をもたらし、8月の貿易収支は赤字になった。これが、続けば、食料輸入に積むお金もない状態になる。また、産地国から輸出する分がないとき、いくらお金を積んでも手に入れることはできないという事態も起こりうる。食料を外国に依存しているということは、命を外国に預けているということであり、いつ餓死が訪れてもおかしくない。

 このように、自給率が、ゼロに近い我が国で、食料の輸入が止まってしまうことは、私たちが餓死することを意味するが、日本は、そうなる危機を経験したのだから、農業を振興し自給率を高めようと考えるのが普通だと思うけど、WTO(ドーハ・ラウンド)大枠合意農業の自由化へ突き進むのが農水省と経産省である。

 今また、農水省は、ドーハ・ラウンドへ向けて、白々しくも国内向け三文芝居を展開中である。「(今回は出かける前から)8%を守る」努力しているふりをしておいて、でも情勢は厳しく「日本の言い分は通らない。だから、農業を自由化するしかない」というお芝居。

<石破農相>「重要品目8%確保を」WTO事務局長らに要請

 重要品目最大で6%を受け入れるつもりで日本は、会議へ臨むので、他国の反対がなければ、いよいよ日本の農業は、壊滅させられることになる。本当の自給率は、1%ぐらいしかない日本だけれど、また、農業従事者が高齢化しているとはいえ、まだ作り手はいる。それが、この自由化で作り手さえいなくなるのだろうと思う。農業のない国になってしまうのだと思う。そして、農業を追われる人々は、どうなってしまうのかという問題も生じる。

 農業が壊滅させられると、輸入したものを食べるしかないのだから、食の安全など全くないということになる。

 WTO合意に向けた動きの背景には、米国発金融危機が世界に拡大し、各国が国内の産業を守るために保護主義に走りだしかねないとの懸念が高まっているからなのだそうだ。

 けど、そもそも、なぜ、自国の産業を守るために保護主義に走ることがいけないのか??まったくもって理解不能。

 特に、どこの国の人でも安定的安全に食べることが、生命維持に欠かせないことであり、農業を守ることはとても重要な安全保障問題であるのに、これを自由化して、自国農業を壊滅させても、自由貿易を進めなければならないとは、理解不能である。そして、政府とはいったい誰に対して責任を負った存在なのだろうか。自国民の食の安全に働くべき政府が、WTOの合意に対して責任を負っているかのように、自国民の食の安全を切り捨てるというのは、国民にとっては信じられないことである。

 しかし、現実には、そうした公僕としてあるべき姿もない省庁があるばかり。農水省など省庁は、国民に対して責任など負ったことがなく、国民の上に君臨し、省益を追求し、国民の税金の上に胡坐をかいて公僕としてのまっとうな仕事をしていないことがそもそもの日本の問題なのだ。

 こういう国益を損ない国民を裏切り続けて省益を追求する省庁の言いなりに動いているのが、自公政権なのである。政治主導となり、政治が省庁の手綱を握るためには、自公政権ではあり得なく、私たち国民の安全安心を得るために政権交代は絶対に必要なのだ。

 それにしても、農業は、これほどの危機に瀕しているのに、農業関係者から、反対の声は、まったく聞こえてこないように思う。

 小泉改革による医療崩壊もすごいが、医療崩壊に対しては、かなり大きな声で聞こえてくるのに、農業に関しては、まったく聞こえてこないのは、なぜだろう?

 と考えると、農民代表の国会議員がいないからではないかと思った。医師出身の議員は、知っているだけでも、民主党櫻井充氏、社民党安部知子氏、共産党小池晃氏、国民新党自見庄三郎氏、がおられ、それぞれ活躍しておられる。が、農民からの国会議員は、今までのところ知らない。もしかしたらいらっしゃるのかもしれないけど。それで、私が思うには、農民からも議員を国会へ送り出すべきではないだろうかと。民主党は、農民の方から候補者を立てることを考えてみてはどうかしら?

 農業は、しがない主婦の私にはとても理解できないほど、中央支配下にあるのかもしれない。そういう問題点を世間につまびらかにできるのは農民の方以外にはないと思う。医療の世界も官僚の世界も、一般の人にはわからず、的確に問題を把握して指摘できるのは、内部に精通している医師や官僚の方に他ならないと思う。だから、医師や元官僚出身の野党議員がいることはとても心強いし、省庁にとっては手ごわい相手となるだろう。同様に農業についても的確に指摘ができるのは農民の方の他にはないと思うので、ぜひ、国会へ議員を送り込んでもらいたいものだと思う。

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コメント

こんにちわ、
今回の農業と、11/3の小麦、10/22の猛毒米の記事を転載させていただいてよろしいですか?

猛毒米については私もブログで何度も書きましたが、再度取上げようと思います。
なんせ、私を含めて、日本人はおめでたいほど忘れやすい。
再度、取上げようと思います。

天下りに関しても、もう一度取上げようと思います。
日本のあらゆる問題は植草さんの仰るように
政官財の癒着にありますね・・
やはり、政権交代しか日本の再生はありえませんね・・
読ませていただき実感しました・・
これ以上、自公党や官僚、御手洗の食い物になるのはいやです。

投稿: ぱたり | 2008年12月 1日 (月) 15時41分

ぱたりさん、遅くなりました。

転載は、OKです。

本当に忘れないように、繰り返し問題提起は必要だと思います。

村野瀬さんが言われるように、政権交代が、改革の本丸ですよね。

投稿: ふじふじ | 2008年12月 1日 (月) 18時44分

転載させていただきました。
ありがとうございます。
遺伝子の方は後日転載させていただきます。
素晴らしい記事ですので・・

フジの世論調査、ご覧になられたました?
麻生の高支持率は捏造だと思ってましたが・・
なぜ、今それを止めたんでしょう?

やはり4人目の総裁でも選ぼうと言う魂胆なんでしょうか?


投稿: ぱたり | 2008年12月 1日 (月) 23時18分

ぱたりさん、

遺伝子組換えは、原発と同じぐらいかそれ以上に恐いです。これは阻止しないと、かけがいのない食料そのものを失ってしまいます。
ぜひ、危険性を広めてください。よろしくです。

フジの世論操作は、麻生下ろしへ傾いたには違いないですが、解散へ導くためか、4人目へと導くためか、わからないですね。

この恐慌となりそうな世相で、また、のんびり総裁選をできるものなんでしょうか。
バカの集合体、自民党ならやりかねないですが。

投稿: ふじふじ | 2008年12月 2日 (火) 13時46分

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